おじさんは反抗期

見た目はおじさん、頭脳は子ども

【20代の青春】そして、俳優をやめました【30歳でバブル崩壊】


ぼくの俳優引退は複雑で、あっけないものでした。

『遥かなる甲子園』の稽古中も『奇跡の人』の巡演は続いていました。

舞台の上で大ケガ!

ぼくは『奇跡の人』の公演中にふざけすぎて大道具の井戸から落ちてしまい、腰を強打してしまいました。

公演後、すぐに病院へ行きました。骨には異常なく打撲でした。
大阪に帰ってきて足先にしびれを感じたので再度検査したところ、椎間板ヘルニアの診断を受けました。
腰を牽引したり、針を打ったり、テーピングで養生し、公演時はコルセットを巻いていました。

ぼくは50代に突入しましたが、腰の傷みは今でもあり、週に1度接骨院に通っています。
そもそも、ぼくは小学生の頃に水泳をしていて「坐骨神経痛」と診断されていたので、生まれつきというか、持病でもありました。

恥ずかしすぎた『ロミオとジュリエット』

そんなとき、劇団の本公演に『ロミオとジュリエット』が決まりました。本公演は年に一度、大きな劇場で行います。
巡演組は稽古に参加できないため配役されません。あんなに演りたかったシェイクスピア劇に出られないことに、とても落ち込みました。
ただこの本公演、主役のロミジュリの2人をはじめ若手の熱意に反し、ベテランが「ベテラン」としての役割になっていませんでした。セリフは忘れるし、動きも声も小さい、若手を支える余力もみられない、恥ずかしい作品でした。

場数を踏むための外部出演だったのに…

そんなこんなで、ぼくは相変わらず他劇団に出演したり演出をしました。しかし、そのことが劇団で問題になりました。「関西芸術座」所属としてギャラの発生しない他劇団の作品に関わるのはいかがなものか?とのこと。そして、今取り組んでいる他劇団の作品を降板しないなら関西芸術座から除名するとの警告がありました。しかし作品はまもなく上演、今更降板するとなると迷惑をかけてしまう。素人の集まりの劇団で、チケットを売るのにみな苦労しているのにぼくだけ放棄するのは申し訳ない。

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ぼくは俳優を辞める決心をしました

腰の痛みも改善しない・・・

本公演の出来栄えがあまりにもひどすぎた・・・

場数を踏む目的の他劇団への参加も認められない・・・

バブルが弾けて、アルバイトもなかなかみつからない・・・

東京は…僕には…遠すぎました…


こうしてぼくは「遥かなる甲子園」を降板し、他劇団への出演を最後に俳優をやめました

舞台は麻薬、依存すると抜け出せない

俳優という仕事はとても気持ちがいいものです。お客さんに注目される。拍手喝采、カーテンコール。無名にも関わらずサインを求められる。その気持ちよさに多くの俳優がアルバイトをしながら無名のまま、老いていく。

もう一度、舞台にたちたい、プロとして

俳優を辞めてから、ぼくは一度も演劇を観に行っていません。だって、観たらきっと舞台に立ちたくなってしまうから。

「関西芸術座」は、ぼくの誇り

『奇跡の人』と『遥かなる甲子園』2つだけだったけど、たくさん舞台に立ち、たくさんのことを学びました。

研修生時代を共にした仲間は、今でもぼくの心にいます。

ぼくの人生という舞台は、まだ幕を降ろすわけにはいきません。まだ、あともう少しは。

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