おじさんは反抗期

見た目はおじさん、頭脳は子ども

【日本昔ばなし】節分とヒーローとルッキズム【リフレーミング】

昔むかし、ある島で男の子が産まれました。男の子は両親や島の住人に大切に育てられ、すくすくと成長していきました。

やがて少年となり、洗濯や掃除など親孝行をし、習字やそろばん、武芸に励み、たくさんのお友だちができました。

青年になると島民たちと力を合わせ一生懸命に働きました。

そして、青年は恋をしました。相手の娘は身なりは質素でしたが、とても優しい心を持っていました。

ふたりは結婚をすることとなり、島民から祝福を受けました。夫婦は働いて得たお金を散財することなく、慎ましい暮らしをしました。また、困っている人がいれば老若男女問わず助けてあげていました。この夫婦だけではありません、島民の誰もが助け合って暮らしていたのです。

やがて夫婦に娘が産まれました。娘は両親や島民の優しさに包まれてすくすくと成長しました。娘の歌声はいつも島民の癒やしとなっていました。

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このころ、あるところに桃太郎という男がいました。
働こうとはせず、おじいさんとおばあさんに食べさせてもらっていました。
桃太郎はたくさんのお金が欲しくなり、家を出ることにしました。貧乏な家だったので、おばあさんはせめてものお守り代わりにと桃太郎にきびだんごを渡しました。
桃太郎が歩いているとイヌとサルとキジに出会いました。桃太郎は3匹に「今から働きに行くところだ、仕事を手伝ってくれたら山分けをしよう。そうしたらおまえたちも楽な暮らしができるぞ。前金代わりにこのきびだんごをやろう」と誘いました。

同じ頃、背は低いものの負けず嫌いで喧嘩っ早い一寸法師という男がいました。
一寸法師はかなりの女好きで村の娘をことごとく口説いて回っていました。
一寸法師は、ある島に絶世の美女が住んでいるという噂を耳にしました。居ても立ってもいられなくなった一寸法師は歩いて行くのは面倒だと、舟で川を下って島へと向かいました。

足柄山には金太郎という力自慢がいました。
いつもクマやイノシシをボッコボコにしてイジメて楽しんでいました。金太郎は「俺はこんなに強いんだ。将軍様は俺を武士として認めてくれるに違いない。とにかくたくさんやっつけて、この腕前を将軍様に披露するとしよう」と村をあとにしました。

こうして、桃太郎と一寸法師と金太郎は海辺で出会いました。海の向こうには住むにはえらく不便そうな岩だらけの島が見えました。
しかし、どうしたことでしょう。その島のいたるところがキラキラと輝いています。また娘の美しい歌声に合わせて、島民がせわしなく働いている姿が見えました。

桃太郎は言いました「あのキラキラして見えるのは金銀財宝ではないか!」

一寸法師は言いました「あの歌声のなんと美しいこと、きっと絶世の美女に違いない!」

金太郎は言いました「あんなに楽しそうに働いているとは許せない!俺たちがどれだけ苦労してここにたどり着いたか思い知らせてやろう!」

こうして、3人は島に渡り暴れ放題暴れました。桃太郎はイヌ、サル、キジをこき使い金銀財宝を集めさせました。一寸法師は、美しい歌声を持つ娘たちを襲いました。金太郎は無抵抗な島民に次々と殴りかかりました。

やがて…平和に暮らしていた鬼ヶ島の人々は金銀財宝を奪われ、娘たちは凌辱され、口封じのために一人残らず殺されてしまいました。

めでたし…めでたし?

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